2026年6月8日月曜日

野生の”カワウソ”

 小学生くらいの頃の話だが、近所の池にカワウソが出るという噂が子供の間で出たことがある。

その頃はカワウソがどの程度貴重な動物か知らなかったし、そもそもカワウソがどういう形態なのかも知らない上に調べるほどでも無いなというやる気の無さだった為に「へー、そうなんだ」くらいで流していた。


ある日、釣りのために自転車でウロウロしていると、浅めの水路に茶色い毛むくじゃらの生き物が草の束を咥えて泳いでいた。

体長は少なくとも30cmはあった。その太い体で流れはほとんどない水路をスイスイと泳いでおり、見た瞬間「これが野生のカワウソか。」と思い、しばらくその様を眺めていた。



後日、何かのネット動画だったかTVだったかで「ドブネズミは都市部にもおり、体長30cm以上の個体もいる」という話をしていた。

それを聞いた時に脳裏に可能性が浮かんだ。

「あれはドブネズミだったのではないか。」

確かにあの水路はお世辞にも綺麗とは言えない。しかも池にカワウソが出ると言っているのに離れた水路に出てる時点で違うのではという考えに至り、結果としてあのときの生き物は「おそらくドブネズミ」という認識にすり替わった。



それから十年以上経過した後にyoutubeで動物の動画を見ることにハマり、犬猫からハムスター、しろくま、レッサーパンダなどを見ているうちにふと十年前のカワウソやドブネズミの話を思い出して調べてみた。

結果、出てきたのは当時見た姿とは全く違う生き物だった。

まず、カワウソは超希少種で田舎とかそんなレベルでは生息していない。しかも姿が明らかに違う。めちゃ細い。あと可愛い。泳ぎも上手い。

また、ドブネズミとネズミは全く違う形態の生きものだと思っていたが、かなり似たような姿だったのがそもそもの驚きであり、また僕が見た生き物とは程遠い姿だった。

「じゃあ、あの生き物は何なんだ・・・?」

カピバラに似ていたので「まさか」と一瞬思ったが、南米原産の生き物が片田舎に普通に野生化しているとは思えず、結局あの水路を泳いでいた生き物は何だったのかわからなかった。

ただ、そこまで深く知ろうとも思わなかったので、そのまま調べるのを止めた。端的に言えばすごいどうでも良かったのである。






それからまた数年後、「よゐこ部」という地方局の番組を見ていたところ、大阪城の外来種観察企画があり、お掘りをボートで移動しながら動物を見つけるという内容だった。


そこで出てきた動物を見て「あ」と声が出た。


ヌートリア


既に十数年も経過しているのに、あの時の記憶は鮮明だった。

毛むくじゃらで太い体、足が短い。ビーバーやカピバラみたいなデカい頭。





こいつだ!


と、数十年かけて真相が判明するという小さな奇跡が起こっていた。(でも見ていて興奮していたのは俺だけだったと思う。)

僕はカワウソ→ドブネズミ→ヌートリアという段階を経て真相に至り、結局あいつはタダの外来種だったというしょうもない結論に着地することとなった。

ただ、未だに思い出すあの(おそらく巣を作るために)葦を咥えて泳ぐ姿は可愛らしく、僕の中では外来種というクッソハンデを背負っているにもかかわらず、何となく自分の中の好感度が他の外来種動物より高い。



でも外来種だしな!駆除はされたほうがいいんだろうな!

そこに可愛いからという贔屓は無く、それはそれ、これはこれである。

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