2025年6月5日木曜日

物語の中にある理不尽

物語において、理不尽は嫌われる傾向にある。特にシリアスな漫画では。

ギャグ漫画であれば、それをコメディのネタと出来るが、物語重視であればあるほど伏線を引いたうえで後に回収されるべきという風潮がある。

僕はそこまで理不尽だと言われてることに対して、そうは思わないとすることが多い。

逆に、そこには想像する余地があると思う。


例えば、好きな漫画で「孤高の人(坂本眞一)」がある。

物語の序盤で友人として切磋琢磨した人物が、後半では見た目は変わらずとも、中身はすっかり変わり果てた”嫌な奴”として現れる。主人公はまんまと彼に騙され、人間不信を悪化させることになる。

この他にも、序盤ではライバルポジションになりそうなキャラがその後全く姿を見せず、急に後半で遺体として見つかったりと、いわゆるそれまでの伏線が無い「理不尽」な話が多い。

ここが賛否両論らしく、なんの脈略も無いのは如何なものかと言われることが多い作品だ。


でも、そこで思うのは”そもそも現実ですら「理不尽」だらけだし、そこでこちらが出来るのは「原因を想像すること」”である。

仕事でほぼ決まっていた案件が急に顧客の方からキャンセルされてしまうことがある。理由を顧客からは聞き出せない事も多い。理由は状況から想像するしかない。

それでも、相手には何かしらの理由があるだろうと考えて納得している。


理不尽だと感じる物語が見せている視点の外で、もう一つの物語が進んでいる。

それらが重なり合った瞬間のみ目撃するから、「理不尽」に見える。

理不尽とは、決して理解できないものではなく、もう一つの物語の流れを想像する余地があると捉えられるのではと思う。

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