タイトルの通り、梅崎春生の全集がネット通販で売っていたので、思わず買ってしまった。
そもそも全集を買うほど好きなのかというと、そこまで熱心なファンでも無く・・・
荻原魚雷氏や山本善行氏の著作で名前を見かけて、そこから「怠惰の美徳」「幻化」を読んだところ、面白い所はちゃんと笑えるし、かと思えば心理描写的なところも淡々としているのに妙に頭に残るという感じがあるので、給料が入ったタイミングで浮かれていたのもあり、一挙に集めてしまおうとしたのだ。
特に梅崎氏は若くして亡くなっていることもあって全集でもそこまで巻数が多くなく、そう高くないのも購入に至った要因の一つである。
買う直前に、ほぼ満杯になった本棚(奥に3列で使っているので一番奥はすごく取りづらい)を見て少し考えたけど、「まあ、買ってから考えよう・・・。」と思考停止してポチった。
今は全力で購入したことを肯定する為にあれこれ考えている。
そもそも、僕自身は小説を読むのが多分苦手で、人物や風景の描写が続くと「この人物はどんな感じなんだろう」とか「背景はああでこうで・・・」やらと考えるうちに脳内映像がごちゃごちゃとしてしまって上手く描写出来ない。
結果、そういうシーンが出るたびにストレスが溜まってしまい、頭に入ってこないことも多い。(ミステリーであれば会話の中から事件に関係ありそうなキーワードを拾い上げることに集中すれば良いので、割と読める。)
なので、普段手に取る本はエッセイや哲学書が圧倒的に多い。
そんな僕でもなんとか読めている小説の類が作者自身(と思われる人物)の心理描写を中心として書かれている私小説だった。
特に私小説で読んでいるのは尾崎一雄、上林暁、梅崎春生の3名。(上林は僕自身の欠陥のせいで十分に読めてはいないけど、それでも風景描写がキレイだと思えるくらいには凄いと感じる。)
様々な物事に対して自ら思考を深めていく過程を読んでいるだけで、なんだかいい話が聞けてるなぁという気分になる。
ただ、私小説に対する批評を読んでみると、割と強めに否定されていたりしてて驚く。
しょうがないじゃん、俺みたいな人は小説が普通に読めないんだから・・・。
ここまで書いていて、同じような理由で小説が苦手な人もいるんじゃないかと思う。
もしかしたら、小説の読み方を間違えている可能性もある。実際はもっとアバウトに人物とか風景とかを想像していたり、X氏はA・B・Cという特徴を持っていて・・・と記号化して考えているとか、そもそも想像しないで何となく・・・とかもあるかもしれない。
読書会に参加する機会があれば、他の人々に聞いてみようと思う。